2023年3月24日 物流の基礎知識
2022年に発効されたRCEPとは?日本への輸入時のメリットと注意点を解説!
2022年1月に発効されたRCEP協定。 アジア・太平洋地域で展開されているこの経済連携協定はどういった特徴があるのか、日本に輸入する際に知っておきたいことを見ていきたいと思います。
<RCEPとは?>
RCEP協定は、日本語では『地域的な包括的経済連携協定』となりますが、“Regional Comprehensive Economic Partnership Agreement”の頭文字を取ったもので、“アールセップ”と呼ばれています。 2022年1月1日に発効され、日本を含むアジア・太平洋地域の15か国が参加する大きな経済連携協定となります。 参加国はASEAN10か国(ブルネイ、カンボジア、インドネシア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム)と、日本、中国、韓国、オーストラリア、ニュージーランドで、2023年3月現在、ミャンマーとフィリピンを除く13か国で発効済みとなっています。
※2023年6月にフィリピンも発効され、未発効国はミャンマーのみとなっています。
この参加15か国の規模を見ていくと、経済規模では25.8兆ドル(GDP)、市場規模では22.7億人(人口)と、世界全体の約3割を占めるものとなっています。(2019年データ)
RCEP協定は、サービスの貿易や知的財産、電子商取引等に関しても規定されていますが、ここではモノの貿易に関して見てまいります。
<RCEPとTPP11、他の経済連携協定との違いは?>
2018年に発効されたTPP11と比較されることが多いRCEP協定。
その大きな違いは、中国、韓国が参加していることが挙げられます。
TPPはアメリカを中心として環太平洋地域の参加国により締結された貿易協定である(後にアメリカは離脱しTPP11となる)一方で、RCEP協定はアジアが中心となり締結された経済連携協定で、発効の段階で中国と韓国が参加しています。
日本にとってはRCEP協定が中国、韓国と締結する初めての経済連携協定となり、2023年3月時点では、日中韓FTA(自由貿易協定)は交渉中、日韓EPAに関しては交渉中断中であるため、中国、韓国との貿易が多い日本にとっては、RCEP協定は大きな意味を持ちます。
<輸入時のメリットは?>
RCEP協定により、参加国からの輸入品の関税撤廃が大きく進みます。 工業製品で見ると、中国原産品は品目数ベースで47%から98%へ、韓国原産品は同47%から93%へと、多くの品目の関税が撤廃されることになります。 ただし、発効の段階で即時関税撤廃となった品目がある一方で、10年/15年/20年の歳月を掛けながら段階的に関税率が下がっていき、最終的に関税撤廃となる品目もあるという点は注意が必要です。
(引用元:経済産業省HP https://www.meti.go.jp/policy/trade_policy/epa/pdf/epa/rcep/gaiyo.pdf)
農林水産品に関しては、産業を守る観点から日本における重要5品目である米、麦、牛肉・豚肉、乳製品、甘味資源作物は関税撤廃の対象から外されており、その他の品目に関しても、TPP11や他のEPA(経済連携協定)に比べ、低い関税撤廃率に抑えられています。
(表 農産品関税に関する内容の概要)
(引用元:経済産業省HP https://www.meti.go.jp/policy/trade_policy/epa/pdf/epa/rcep/gaiyo.pdf)
<参考リンク>
税関 RCEP協定 ステージング表(日本側関税率一覧)
https://www.customs.go.jp/kyotsu/kokusai/gaiyou/staging/rcep.pdf
<税率差ルール>
日本への輸入の場合、①ASEAN・豪州・ニュージーランド、②中国、③韓国の3種類の関税率が設定されており、輸入相手国によって関税率が異なる場合があり、これを税率差(関税率の差異)と言います。 関税率の低い国を意図的に経由して輸入する「迂回輸入」が行われることを防ぐため、「税率差ルール」と呼ばれるルールがRCEP協定では適用されています。 商品に使用されている原材料の原産国やその割合、また加工を行った国やその加工の程度などを基に、どの国の関税率が適用されるかを判断していくものとなります。
詳しくは、2022年4月に開催しましたウェビナー資料にて説明しております。
ご興味がある方は下記より資料のダウンロードをお願い致します。
<RCEP協定、EPA税率についての困りごとならMLGへ>
RCEP協定では中国、韓国からの輸入品の関税撤廃が大きく進む一方、歳月を掛けて関税率が下がっていくような品目では、現時点では大きなメリットを享受できないこともあります。
ただし、段階的な引き下げの後に関税撤廃が進むなど、将来的に大きなメリットがありますので、RCEP協定の仕組みや適用条件を今から理解しておくことが大切となります。
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