2023年12月8日 物流の基礎知識
航空運賃まるわかり!運賃の算出方法と用語について詳しく解説!
先日の海上運賃についてのブログ記事が好評だったので、今回は航空運賃についてご紹介させていただきます!
海上運賃の記事についてまだ読まれていない方は、ぜひこちらも読んでみてください。
航空運賃は、海上運賃とはまはた違った料金形態になっており、料金算出に関してのルールがあるため、初めて航空運賃の見積を見た際、「なぜこの金額になったのだろう・・・?」と思ったことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この記事では、基本的な航空運賃の構成と計算方法について分かりやすく解説しています。航空輸送に係わる方はぜひ参考にしていただけると嬉しいです。
<航空運賃はどうやって決まるの?>
航空貨物の運賃は、基本的に貨物の重量や容積によって計算されますが、
運賃の計算方法が海上運賃に比べ少し複雑になっています。
計算方法は後程解説するとして、まずは航空運賃が変動する要素についてご説明します。
■運賃を決める基本的な要素
- 貨物の重量または容積重量
重量または容積重量によって、変動します。C/W(chargeable wight)が重くなれば運賃単価が下がるのが一般的です。 - 航空会社
同じルート/経由便でも航空会社によって設定している運賃単価は異なります。 - ルート(発地/向地、経由の有無)
発地・向地地、または経由地によって運賃は異なります。輸送距離が長いほど、運賃が高くなる傾向があります。 - 特殊な貨物による追加料金:
危険品輸送、または急ぎ便の場合、別途費用が発生します。また、大型・長尺物などの特殊貨物は特別料金(over pivot charge)が適用される場合があります。 - 季節や需要による運賃・サーチャージの上昇:
航空貨物の輸送需要はクリスマスなどの繁忙期や世界情勢によって変動するため、輸送需要が高まると運賃・サーチャージが上昇することがあります。 - 希少性
そのルートを何社の航空会社が運航しているかによっても料金に差がでてきます。競争相手が少なければ、その分高めに料金設定される傾向があります。
■基本運賃はタリフにより設定されている
航空運賃は、「基本運賃(タリフ×CW)+各種サーチャージ」という構成になっています。
国際航空運送協会(IATA)が発行しているCargo Tariffというものがあり、そこに運賃の規定が細かく規定されています。(現在海上にはないシステムですね!)
そこに掲載されている主な料金形態は下記の通りです。 なお、燃油サーチャージ(Fuel surcharge)は燃油価格により変動するのでここには記載されていません。
- 最低料金(Minimun charge)
航空会社 × 向け地ごとに最低料金が設定されています。
運賃計算(単価x適用重量)の結果、最低料金未満になる場合は、この最低料金が適用されます。 - 一般貨物賃率(General Cargo Rate)
Cargo Tariffに掲載されている、ミニマム料金以上の貨物に適用される運賃率のことです。適用重量(Chargeable Weight)により段階的に賃率が設定されています。主に-45kg, +45kg,+100kg,+300kg,+500kg,1000kg~のように区分けされており、適用重量が重くなるにつれて運賃単価が安くなるように設定されています(重量逓減性)。 - 品目別分類賃率(Commodity Classification Rate)
定められた特定の地域、特定の品目番号(HSコード上4桁)について適用される運賃率のことです。一般運賃に対しての、割り増し料金、または割り引き料金を% で表示します。
特定品目には、動物、貴重品、新聞雑誌、遺体などが定められています。
■適用運賃に関すること
運賃計算の前に、航空運賃に関する用語について覚えておく必要があります。
- 賃率適用重量(Chargeable Weight=C/W)
運賃は実際の重量または容積重量のうち、大きい方を適用し計算されます。その運賃計算に適用する重量の事をChargeable Weight(チャージャブルウェイト)、略してC/Wと呼びます。 - 定額限界重量(Pivot Weigh)
パレット・コンテナ単位での料金設定がある場合、基本料金内で運べる重量のことを指します。これを超える場合は、
Over Pivot Chargeが適用されます。
<運賃の計算方法について>
航空貨物の運賃は、実重量もしくは容積重量のうち、大きい方が適用されます。
実重量とは、その貨物の実際の重さの事を指し、容積重量は、容積を重量に変換した重さの事を指します。
■容積重量の計算式
〈縦(cm)x横(cm)x高さ(cm)x個数〉÷6,000*
*基本的には、IATAが定めた「6,000cm3=1kg」として換算するルールを適用
では、実際に計算してみましょう。今回計算するための条件は下記の通りです。
<今回の計算条件>
・POL:NRTーPOD:△△
・料金:Min:JPY7,000、-45kg:JPY800/kg、+45kg:JPY600/kg、 +300kg: JPY300
・貨物詳細:縦80(cm)x横130(cm)x高さ100(cm)、Gross weight: 60kg x 2CASES
<容積重量を計算する>
<縦80(cm)x横130(cm)x高さ100(cm)x2CASES> ÷ 6,000 =346.6666
容積重量は347kgとななります。(※端数小数点以下は0.5切り上げされるルール)
今回、実重量は200kg(100kgx2cases)なので、容積重量が適用されC/W:347kgとなることがわかりました!
運賃計算は、 JPY300 x C/W:347kg = JPY104,100 となり、航空運賃はJPY104,100であることが分かりました。
■最低料金(ミニマム)適用の場合
<今回の計算条件>
・POL:NRTーPOD:△△
・料金:Min:JPY8,000、-45kg:JPY300/kg、+45kg:JPY150/kg
・貨物詳細:縦50(cm)x横50(cm)x高さ10(cm)、Gross weight: 3kg x 1CASE
<容積重量を計算する>
まず、容積重量を計算します。
縦50(cm)x横50(cm)x高さ10(cm)÷6000= 4.5kg(※0.5ごとに端数切り上げルール)となります。
C/W:4.5kg x JPY300 =JPY1,350となりますが、JPY1,350はミニマム料金以下なのでのミニマム料金のJPY8,000が適用されます。
-
AS取りの場合
また、運賃計算の結果、適用重量が45kg以下の場合でも、+45kgの方がキロ当たりの運賃単価が安く、45kgとした方が結果的に安くなる場合は、As+45kgとして運賃掲載する場合もあります。これを「AS取り」と呼んでいます。
<今回の計算条件>
・POL:NRTーPOD:△△
・料金:Min:JPY8,000、-45kg:JPY900/kg、+45kg:JPY600/kg
・貨物詳細:縦50(cm)x横50(cm)x高さ10(cm)、Gross weight: 40kg x 1CASE
<容積を計算する>
縦60(cm)x横60(cm)x高さ50(cm)÷6000= 30(※0.5ごとに端数切り上げルール)となります。
実重量の40kgの方が重いため、これがC/Wとなります。
C/W:40kg x JPY900 =JPY36,000となります。
しかし、+45kgの場合、キログラムあたりの単価がJPY600になり、貨物重量を45kgとして単価JPY600を適用したほうが航空運賃がJPY9,000も安くなります。
(C/Wを実重量40kgとした場合)JPY900 x C/W:40kg = JPY36,000
(C/WをAS45kgとした場合) JPY600 x C/W:45kg = JPY27,000★こちらの方が安い
この安価な料金にするため、実際のチャージャブルウェイトが45kg未満でも、45kgの貨物として取り扱います。 これがAS取りです。
ちなみに、AS取りを適用した場合、サーチャージの料金計算もAS取りの重量(今回だと45kg)で計算する必要があります。
ですので、価格比較する際はサーチャージの料金も含めて比較する事を忘れないようにしましょう。また、AS取りを認めない航空会社もありますので注意が必要です。
<航空運賃料金を理解しよう>
さて、航空運賃の構成、計算方法について参考になりましたでしょうか。
難しいと感じた方もいらっしゃると思いますが、フォワーダーを介してブッキングしている際はAS取りの計算はフォワーダーの方で行います。
お客様の方で計算する機会は少ないと思いますが、見積金額の確認をされる際にこれらのルールを覚えておくと便利です。
なお、手配の際に事前にご連絡いただいていた貨物の重量と大きな乖離がある場合は見積金額(キロ当たりの単価)が変わってくるので、お含みおきいただければと思います。
当社商船三井ロジスティクスでは、自社施設で個々の貨物をULD(Unit Load Devices)に積み付け、ULD単位で航空会社に引き渡す、“ULDインタクトサービス”も行っております。
ULDインタクトサービスを使用することにより、輸送中の取り卸し回数削減によるリードタイムの短縮、貨物ダメージの削減やセキュリティの強化を実現できます。
ULDインタクトサービスに興味があるお客様、また航空輸送について悩みのお客様がいらっしゃいましたら下記よりお気軽にまでお問合せ下さい。
お客様の貨物やお悩みにあわせた最適な輸送方法をご提案させていただきます。