2022年11月25日 物流の基礎知識
コンなこと起こってた、コンテナ不足の実態
「空コンテナ不足が問題となっています」
テレビからそう聞こえたとき、 「へぇ、ニュースになるほどのことか」 と驚きました。
というのも実は、 空コンテナ在庫の過不足は日常的に起こっているからです。
昨今は落ち着いてきたように思われますが、 コンテナ不足が騒がれるようになったことは記憶に新しいと思います。
海上コンテナの在庫はどのように変化し、 管理されているのでしょうか。
<実はコンテナの在庫バランスは日々変化している>
ご存じとは思いますが、 海上コンテナは世界中で循環しています。
例えば日本に輸入で揚がったコンテナは、 輸入者が貨物を引き取った後にECD(=Empty Container Depot)に返却され、 クリーニングや修理などのメンテナンスを施したうえで次の輸出の貨物を詰めて船積みされます。
空コンテナの在庫は 、輸出入のバランスに左右されます。
輸入の多い港では空コンテナ在庫が余り、 輸出の多い港では空コンテナ不足が生じます。
輸出入のバランスや傾向は、 国や都市などの各港によってその傾向は違ってきます。
またゴールデンウイーク、 お盆休み、 中国の旧正月や国慶節、年末年始といった季節によっても変わってきます。
因みにですが、日本では免税コンテナには再輸出期間というものが定められています。
簡単に言ってしまえば、実は貨物そのものだけではなく、輸送容器であるコンテナ自体にも本来関税がかかるのですが、
日本への輸入の際に関税を免除する代わりに、 そのコンテナは輸入した日から1年以内に輸出されなければならない、という決まりです。
空コンテナ在庫に余剰がある場合は、 日本においては再輸出期間という制限がある上に、船会社にとっては機会損失になりかねません。
そこで船会社はコンテナの余っている港から、 不足している港へコンテナを回送することで日常的にアンバランスを調整し、 できるだけ多くの荷主の輸送ニーズに応えらえるようにしています。
<コロナウイルス流行による混乱>
ただ、少し前までの状況では、 コロナウイルス流行の影響により世界中でロックダウンや外出制限が出されたために、 コンテナの製造が滞ったことに加え、 本船荷役が遅れたり、 輸入コンテナが荷主によってなかなか搬出されなかったり、 デバンニングが遅れたりとコンテナの流通が全体的に停滞しました。
また、通常空コンテナの回送は、 船腹の空いたスペースと浮いた荷役時間を使ってなされます。
最優先されるのは実入りコンテナの揚積みになってきますので、ただでさえ本船荷役が遅れ、 沖待ち船の増加も問題となる中で、空コンテナの回送は優先度を下げられてしまいました。
すると、本来なら輸入の後返却されたり、 回送されたりして使用できていたはずのコンテナが滞留してしまい、 適切な港で在庫状態にならないので、 船会社も荷主も困ってしまうわけです。
<各所でとられていた対応例>
このような場合の対応は、 船会社や国によって違ってきます。
対応例としては、 下記が挙げられます。
船会社の対応
- 発着地や貨物に優先順位をつけて、輸出Booking数をコントロールする
- 運賃を引き上げる
- 各種フリータイム*1を短縮したり、デマレージや*2ディテンション*3を高く設定したりすることで、コンテナの早期返却を促す
荷主の対応
- 鉄道や陸送、航空便などを活用し輸送手段やルートを組み合わせる
- 40フィートコンテナ1本分の貨物を、可能であれば20フィートコンテナ x 2本で対応する
- 20フィートコンテナが不足していれば、40フィートのコンテナに混載貨物として積載する
- 高さにとらわれない貨物であれば、Dryコンテナ、HCコンテナ対応可能な方で代用する
- Dryコンテナが不足していてReeferコンテナの在庫余剰があれば、As Dry*4として使用する
・・・など
また、 一部では荷主が中古コンテナや売却となっているコンテナをリース、 または買取し、 SOC*5として輸送するという手段もとられていたようです。
そのような場合でも、 SOCとしての船積手配は可能ですのでぜひご用命ください。
*1-*5
以下リンクより、 コンテナ輸送に関する基礎用語、 知識もご紹介しております。
ぜひ併せてご覧ください!
コンテナでの物流が主流になった今、 また同様にコンテナ不足が起こっては貨物の輸送、またその先にある物価や我々の生活に支障が出てきてしまいますね。
我々物流業者としても、 ニーズのあるものを運べないのは大変心苦しいところです。
弊社でも状況に左右されず、 お客様の貨物をスムーズに輸送できるよう提案してまいりたいと思いますので、 物流でお悩みの方はぜひ一度お問い合わせください。