香港現地スタッフが香港物流事情について解説!弊社香港現法のサービスもご紹介
<香港の基本情報>
香港の正式名称は「中華人民共和国香港特別行政区(Hong Kong Special Administrative Region of the People's Republic of China)」です。1997年にイギリスから中国に返還された、中国の南部にある特別行政区です。
香港は一国二制度の原則に基づく自律的な地域であり、独自の政治システム、法体系、通貨(香港ドル)、言語(公用語は広東語と英語)、文化を持っています。世界貿易機関(WTO)やアジア太平洋経済協力(APEC)などの国際的なフォーラムにも、独自の立場で参加しています。香港の面積は1,110 平方キロメートルで、領土は東京都の約半分に相当します。総人口の約 750 万人に対し、在留邦人は2.3万人です。(2022年時点、 *1)
香港と日本の時差が1時間で、東京から約5時間で行くことができます。日本ほど明確な四季はありませんが、年間を通して温暖な気候を特徴としている亜熱帯性気候になります。中国の伝統文化に、イギリス植民地時代の影響で古今東西の文化が混ざり合ったユニークな街です。
<香港の物流事情>
経済的には、香港はアジアで最も重要な金融センターの1つであり、国際的な商業ハブとしても知られています。
コモンロー(英米法系)の法制度や、簡素な税制で外資企業へのビジネス環境として優位性を持っています。貿易額においても世界第 10 位に位置しており、制度的・社会的インフラを基礎として国際金融及び物流の拠点としての地位を築いています。
さらに地理的に中国本土に隣接しており、その他のアジア太平洋地域とも強い繋がりを持っています。そのため、香港は通商の中継地と決済機能を確立しています。
◆香港物流のメリット◆
1.経済の自由度
香港のビジネス環境は、恵まれた外部環境に支えられています。経済体制や政府の政策、自由競争の社会・経済環境、豊富な人材、高度なインフラなどがその要因です。
経済の運営は不干渉主義を前提とし、市場メカニズムの調整機能を重視しています。これにより、企業経営の自由、自由貿易、資金の自由な出入り、通貨の自由兌換などが維持されています。
なお、貨物輸送のハードルが低く、輸入管理対象品以外の税関事前認可が不要で、事後申告の手続きも簡単です。煙草税、酒税、燃料税などの税金はありますが、消費税率0%・付加価値税(VAT)・源泉税・CFC税制導入なしの香港は、世界トップクラスの経済自由度数を誇り、国際ビジネスにおける魅力の一つとなっています。
2.クロスボーダー輸送(中国本土-香港の越境トラックサービス)
香港は中国大陸と世界各地を結ぶ交通の要所に位置し、地域間の物流の中継点として重要な役割を果たしています。この地理的な利点により、中国本土と香港間のクロスボーダーサービスを迅速かつ効率的に提供することができます。
弊社香港法人では、華南エリアおよび中国全土からの貨物をダブルライセンストラックで集荷し、陸路で繋ぐ施設を経由することにより、香港自社倉庫や指定の配達先までのクロスボーダー輸送サービスを提供しています。ご要望に応じて、香港輸入完了後は指定仕向け地まで輸送可能です。また、輸送方法(航空輸送/海上輸送)や倉庫オペレーション(集約・仕分け・再梱包・パレタイズなど)も柔軟に対応致します。
越境トラックが主に利用する陸路施設:
- 香港・マカオ・珠海市を繋ぐ「港珠澳大橋」(Hong Kong-Zhuhai-Macao Bridge)
- 香港・深圳市を繋ぐ「深圳灣公路大橋」(Shenzhen Bay Bridge)
これらの大橋を利用することで、香港と中国本土の移動距離を2時間圏内まで短縮することができ、広東省珠江デルタ地域や深圳市、珠海市など、多くの工場が拠点とする地域から香港へのリードタイムは通常1.5から2時間程度となります。
従来のフィーダー船サービスと比較すると、リードタイムを2-3日程度から大幅に短縮することができます。また、スピード通関窓口、越境 EC 専用通関窓口や物流データのスマート管理ポータルの導入により、物流・通関の効率向上を実現できました。
*クロスボーダーサービス紹介☞ https://blog.mol-logistics-group.com/blog/vn-cbt
*弊社香港店の「複合一貫輸送」サービス紹介☞ https://www.mol-logistics.com.hk/jp/service/sub/5/
3.効率的な物流ネットワーク
2023年の香港国際空港の貨物取扱量は430万トンで世界最多となり、過去14年間で13度目の「世界で最も忙しい空港」に選ばれました(*2)。これは香港の航空貨物キャパシティーが高いことを証明し、世界の貨物輸送ハブとしての競争力が一段と高まると考えられます。
空輸以外にも、香港の港湾は大型船が寄港しやすく、海上のコンテナ輸送で多くの貨物が積み替えられるハブ港として、グローバル的に活躍しています。
香港発着の直行便と経由便のルートは多岐にわたり、中国を含む東南アジアだけでなく、中東やヨーロッパへの航路も充実しており、グローバル物流ハブという重要な役割を果たしています。また、香港でのトランシップによって、華南経済圏の珠江デルタ地域の港での輸出入貨物を幅広く取り扱うことができます。
そのため、工業の原料(鉱産資源など)から加工・部品製造の工場拠点が集積している中国本土から、国際市場へのアクセスが容易になり、香港は今後も中国本土と世界を結ぶ貨物ゲートウェイとしてさらに成長する見込みです。
◆デメリット◆
1.高コスト
香港ドルは通貨ペッグ制により米ドルに連動し、米国の金融政策に左右されるため、世界的に見ても物価が高い都市の1つという課題に直面しています。そのため、物価の上昇が加速され、企業の給与設定に大きな影響を与えています。
香港は地理的制約があり、山地や海に囲まれた狭い地域に位置しているため、利用可能な土地の面積が限られています。高い需要と限られた供給により、土地価格(事務所・倉庫の坪単価)は上昇を続けています。
2.国際的な貿易関係の変化による影響
香港は自由貿易の原則に基づいているため、貿易に関する規制や制限が少ないです。しかし、主要な貿易相手国との協定が締結、更新される場合、その協定に基づく新たな規則や条件が適用されます。これにより、貨物の輸出入に関する費用や手続きが変わる可能性があり、それが香港を経由する貨物の流れに影響を及ぼす可能性があります。
また、香港と中国本土は密接に結びついており、その社会情勢や社会的な変動が物流業界の業務運営に大きな影響を及ぼす可能性があります。
弊社は市場の動向を常に把握し、変化に迅速に対応することを心掛けています。リスクを管理することで、安定した物流サービスを提供することを目指しています。
<香港現地法人紹介>
香港法人は、2002年1月、M.O. Air International (H.K.)、 Hong Kong Logistics Co., Ltd.、 Japan Express (H.K.) LTD. の三社が統合して設立され、多様なニーズにお応えできるテーラーメイドの物流サービスを提供しています。
弊社は積極的に中国市場への進出を図り、海上輸送、航空輸送、内陸輸送、倉庫管理など、幅広い物流ニーズに対応しています。また、日本企業を含む多くの企業が新興国に進出し、国際ビジネスを展開する中で、弊社はアジア域内輸送や日本・欧米諸国への物流輸送においても、グローバルネットワークを活かしたサービスを提供しています。
<弊社香港現地法人の強み>
- 様々な国際認証を取得
弊社香港法人は国際的な信頼性を確立するために、以下の機関から国際認証・協会メンバーシップを取得しています。
:IATA(国際航空運送協会)、FIATA(国際貨物輸送業者協会連合会)、HAFFA(香港航空貨物業協会)、TAPA(国際運送保安協会)、AEO(公認経済事業者)、RACSF(航空貨物セキュリティ認証)
厳格な国際基準を満たすことで、お客様に信頼性と安全性を確保した物流サービスを提供しています。 - 仲介貿易(三国間貿易)対応可能
世界規模で充実した自社拠点・代理店ネットワークを活用し、複数の取引や商流がかかわっている仲介貿易(三国間貿易)にも対応致します。日本人駐在スタッフ・日本語話者以外に、中国語(普通語・広東語)と英語にも対応しており、きめ細かなサービス提供が可能です。 - フレキシブルな倉庫サービス
弊社香港倉庫では入庫・検品・保管・ピッキング・ラベリング・パレタイズ・梱包・再梱包・出庫などの一連の作業を、コンテナ単位の大口貨物からEC物流の小口貨物まで、リクエストに応じてカスタマイズされた物流オペレーションを提供致します。
また、倉庫管理システム(WMS)を導入することにより、お客様の管理システムとシームレスに連携することが可能で、情報の一元管理を実現することにより、業務全体の効率化に繋がります。 - 日本産品(食品・ロングテール商品)に対応するE/C連携倉庫
香港は、日本産食品に限ると2004年から2022年までの18年間、日本産食品の輸出先第一位の地域です。(*3)日本の大手スーパーも多数進出し、魚や野菜、肉や卵、フルーツ・加工食品なども人気です。和食レストランは現在2000店舗を超えて営業しています。コロナ禍を経て一般的となった香港のE-Commerce Plat Form、 HKTV MallとAPI連携を行っている常温・冷蔵・冷凍倉庫と当地で提携しており、多数の日本産品の香港でのトライアル販売をサポートしております。
なお、香港での輸入者は必要となります。 サービス詳細については、MOL Logistics HKにお気軽にお問い合わせください。
<香港での物流課題、商船三井ロジスティクスにお任せください>
香港は金融市場や貿易センターなどの機能を備えています。一方で、中国と香港の経済貿易連携がますます緊密化する中、香港は中国からの輸入や輸出が容易な環境を提供することで、中国と世界市場との間の貿易仲介役を担っています。香港を経由することで、企業は国際的な貿易活動を促進し、中継貿易のメリットを活かすことができます。
商船三井ロジスティクスでは、お客様の多様化する物流ニーズに合わせた最適な輸送サービスを、ご提案・ご提供しております。香港の輸送・中国―香港のクロスボーダーサービスを検討している方、物流に関する相談等ございましたら、お気軽にお問い合わせいただけますと幸いです。 弊社の香港現法の日本人・日本語話者スタッフがサポートさせて頂きます。
【商船三井ロジスティクス香港現法メインオフィス】
商船三井物流(香港)有限公司 / MOL Logistics (H.K.) Ltd.
Unit 1-3, 5-11 & 19-21, 21st Floor, Metropole Square,2 On Yiu Street, Shatin, New Territories, Hong Kong
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<参照元>
「外務省―香港」 https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/hongkong/index.html
*1 「ジェトロー香港概況・基本統計」 https://www.jetro.go.jp/world/asia/hk/basic_01.html
*2「日本海事新聞―ACI空港貨物量、23年も香港が首位」 https://www.jmd.co.jp/article.php?no=295234
*3「2023年の日本の農林水産物・食品輸出額、香港向けは前年比13.4%増で過去最高額」 https://www.jetro.go.jp/biznews/2024/02/f2b09e25e33b1d67.html