ワインの品質を保持したままドライコンテナで輸送!コストカットを実現【サービス紹介/イタリア】
今回は弊社イタリア現法が提供している「遮熱シートを使用したドライコンテナ輸送サービス」について紹介させていただきます。
<ワインの輸送の実態>
ワインを定温で管理する際の理想は、ワインの種類によって異なりますが、一般的に15℃前後とされております。15℃の温度を厳密に管理するにはリーファーコンテナでの輸送が理想です。
しかしながら実際にイタリアから輸送されるワインの90%はドライコンテナによる輸送といわれています。弊社より複数のワイナリーに輸送・保管中の温度についてお伺いしたところ、室温 25℃-28℃を超えないことが望ましい、との回答があり、リーファーコンテナではなくドライコンテナで輸送している場合も多いようです。
ドライコンテナを利用して輸送する場合、荷主様は夏場を避けて出荷する等の工夫をされていますが、イタリアから日本への輸送では、スエズ運河を通る場合、エジプトやサウジアラビア沖、また赤道直下のシンガポール沖等の熱帯地域を通ります。
なお現在は喜望峰周りで赤道を2度またいだルートとなっています。
また、コンテナ内部が高温になることを避けるため、コンテナ本船のアンダーデッキに積載することもあります。その場合でも、積替港ではコンテナヤードでコンテナは直射日光にさらされているケースも多く、出荷の季節を問わず輸送中の温度変化は常に意識しておく必要があります。
温度変化は、ワインの品質に影響を与えるため、輸送中の温度変化により品質を落とさないことが輸送課題の一つでもあります。
<遮熱シートを使った輸送サービスの概要について>
当サービスでは出荷時期の発着地の気温、ルート(積替港の気温)、本船のコンテナ搭載場所も考慮した上で遮熱シートを設置したコンテナと組み合わせることで、後者の室温環境での輸送を可能としております。
遮熱シートはワインを輸送するために開発されたもので、コンテナ内部に遮熱シートを設置することで、商品の高温化や急激な温度変化による商品へのダメージを防ぎます。
なお、厳格な温度管理が必要なワイン、品質を最優先する場合はリーファーコンテナでの輸送を強くお勧めします。
当サービスは“ドライコンテナとリーファーコンテナの中間サービス”とうい位置づけであることご認識いただけると幸いです。
<効果についての実験>
メーカーがコンテナ内の温度変化を確認する為に行った実験では、下記のような結果になりました。
▼温度変化の比較
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遮熱シートあり | 遮熱シートなし |
コンテナ内最低温度 | 8.3℃ | -4.4℃ |
コンテナ内最高温度 | 33.8℃ | 47.3℃ |
温度差 | 25.5℃ | 51.7℃ |
※出典:メーカー(LAKLINE)提供の資料より
遮熱シートを使用した場合と、使用しない場合では、最高温度では13.5℃の差が、最低温度では12.7℃もの差があることがわかります。
では、なぜ遮熱シートはこのように効果的があるのか、断熱シートとは何が違うのかを次でご説明いたします。
<断熱材と遮熱材の違いとは?>
断熱材と遮熱材は、混同されがちですが役割や機能には大きな違いがあります。
大きく異なる点として、熱の伝わり方の違いがあります。
まず、熱の伝わり方には、以下の3つがあると言われています。
◆3つの熱の伝わり方について
- 伝導熱:物質が直接接触している場合に熱が移動する現象です。金属のスプーンが温かいスープで温まるのは伝導の例です。
- 対流熱:液体や気体が移動することで熱が運ばれる現象です。暖房器具が部屋を暖めるのは対流によるものです。
- 輻射熱:熱が電磁波(主に赤外線)として放出される現象です。太陽からの暖かさを感じるのは輻射の例です。
なお、コンテナ内の温度の75%は輻射熱によるものとされています。
◆断熱材と遮熱材の違い
上記で説明したとおり、熱の伝わり方には3つあるため、それぞれに特化した素材となっております。断熱材、遮熱材の特徴は以下の通りです。
◆断熱材の特徴
断熱材は、伝導熱を防ぐことに重点を置いています。断熱材は、空気を含む多孔質の材料でできており、空気層が熱の流れを遮断します。つまり、熱を断つこと目的としている断熱材は、空気の層の厚みが重要になってきます。この厚さが増すごとに断熱材としての性能がアップします。
◆遮熱材の特徴
遮熱材は、輻射熱を遮断することで、日光による熱の侵入を減少させることを目的としています。遮熱材は通常、反射性の高いアルミ素材で作られており、太陽光の熱を反射して遮熱します。熱の反射に優れたアルミ箔を使用し、アルミの純度が高いほど反射性能がアップします。断熱材とは違い、熱をアルミ箔の表面で反射するので厚みは必要ありません。
このような違いがあり、遮熱シートがコンテナ輸送時の輻射熱を遮断するのに向いているのです。
断熱材・・・断熱材は、熱の伝導を防ぐことに重点を置いている
遮熱材・・・熱の放射を反射または遮断することで、直射日光による熱の侵入を減少させることを目的としている
遮熱材の効果的な使用方法
遮熱材は正しく使うと非常に効果があり間違って使うと効果がほとんど出ないことがあります。正しい使い方とは、「伝導熱」の影響を受けなくすることです。
遮熱材は薄いアルミ箔からできています。このアルミ箔は熱に触れると、その熱の影響を受け瞬時に熱くなります。このように遮熱材は直接熱が触れた場合においての熱の伝わりが、非常に高い素材になります。
このため、コンテナ搭載時にはコンテナ壁面・遮熱シート・貨物を密着させず、空気の層を作ることが必要です。
弊社では、コンテナ壁面・遮熱シート・貨物を密着しないよう、熟練したスタッフが作業を行っております。
<当サービスのメリット&デメリット>
当サービスを利用する場合のメリットデメリットについて一覧にまとめました。
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遮熱シートを使った ドライコンテナ |
ドライコンテナ |
リーファーコンテナ |
メリット |
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デメリット |
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ワインの品質を保持するために発着地の気温、ルート(積替港の気温)、本船のコンテナ搭載場所を考慮して対策することが必要です。
弊社では、ワインの品質を守るため、以下のようなことをご提案・実施しております。
- 夏季の出荷は避け、イタリア国内の集荷では通常トラックの夜行便で翌朝に倉庫搬入することで直射日光による貨物室の温度上昇を避ける。
- 輸送ルートはシンガポールやドバイなどの積替港は避け、直行又は比較的涼しい地域での積替港とするルートを選択することで積替港のターミナルでの温度以上を防ぐ。
- 本船のコンテナの搭載場所としてオンデッキではなくアンダーデッキを指定することで洋上でのコンテナが直射日光にさらされての温度異常を防ぐ。
弊社ではワイン等の食品輸送で蓄積した、衛生管理・温度管理・通関のノウハウがございます。食品輸送でお悩みがございましたら是非一度ご連絡いただけますと幸いです。
<LCLでの輸送や液体化学品、樹脂、石鹸、ペットフード等の輸送についても有効!>
さて、今回は弊社のサービスをご紹介させて頂きましたが、いかがでしょうか?
品質を維持しつつコストを抑えた輸送方法をさがしている場合、当サービスは効果的だと思います。
弊社の遮熱シートを使用したドライコンテナでの輸送サービスは、品質保持とコスト削減の両立を実現いたします。
今回はワインを例にご紹介させて頂きましたが、ワインや飲料・食品のみならず、液体化学品や樹脂、石鹸、ペットフードの輸送についても当該サービスをご利用いただけます。
また、FCLだけではなく、パレット単位のLCL輸送でも同様のサービスを提供しております。
詳細、お見積りについては、お気軽にお問い合わせください。