2024年10月11日 物流の基礎知識
米国への輸出の際は要注意!AMS/ISFについて
世界各国におけるセキュリティ・コンプライアンス強化の取り組みにより、貨物を輸出する際には、貨物明細(マニフェストデータ)を相手国税関に事前に送信する手続きが順次導入されています。 米国であれば、「AMS」や「ISF」、カナダは「ACI」、欧州は「ENS」、日本でも2014年から「AFR」、、、(略語ばかりで分かりづらいかもしれませんが)、いずれも貨物の出港前報告(セキュリティファイリング)の一環となります。
これらは2001年9月11日のNYC同時多発テロを発端に反テロ・国防強化のための施策として米国AMSが導入され、各国でも取り入れられるようになってきました。 今回の記事ではこの分野において先行している米国の諸ルールについて取り上げ、詳しく解説させていただきます。
<AMS(Automated Manifest System)とは?>
AMSは、海上輸送される貨物の情報をアメリカ税関に電子的に提出するシステムです。
米国向け貨物に関するセキュリティ対策の一環として、米国税関・国境警備局 (U.S. Customs and Border Protection / CBP)によって実施されています。 運送人である船会社やフォワーダーは、アメリカ向けの貨物に対して、船積みの24時間前までに申告することになっています。 このシステムは、税関が貨物のリスクを事前に評価し、輸入手続きの効率化を図るために導入されました。
ポイントは、AMS申告は、荷主様からいただく貨物情報に基づいて、「運送人」がデータの送信を行い、本船積載の確認を受けるという点です。 なお、当社では自社でAMSファイリングを行っています。
あくまでも荷主様から頂く貨物明細に従いデータ送信を行いますので、荷主様には正確な貨物明細をご準備いただく必要があります。 誤情報を送信した場合は、不積みのリスクのみならずCBPからのペナルティの対象とみなされることがありますので、十分にご注意ください。
AMSファイリングに必要な情報
AMSでは、以下の情報が必要です。
- ハウスBL(Bill of Lading)およびマスターブッキング情報
- 出発地、経由地、目的地などの輸送経路
- コンテナ番号や貨物内容の詳細
(※以下3項目は荷主様に特に正確な表記が必要です。)
- 正確な貨物名称
- 貨物の数量 (梱包単位表記。外装梱包がある場合は、内個数まで必要)
- 荷送人/荷受人の正式名称と住所
<ISF(Importer Security Filing)、通称" 10+2 " ルールとは?>
ISF (Importer Security Filing)は、アメリカに海上輸送される貨物に対して、輸入者が事前に提出するセキュリティ申告です。
この制度は2009年に導入され、2010年より本格実施されました。 アメリカに向けて本船が出発する24時間前までに必要な情報について、米国税関・国境警備局 (CBP)への提出を義務付けるものです。 税関が貨物のリスクを事前に評価し、アメリカ国内の安全を確保することを目的としています。 米国に輸入される貨物については、輸入者による10項目の申告要件、船会社による残り2項目の申告要件があります(いわゆる10+2)。米国の港を経由して他国に輸入される貨物(FROB)についても、5項目が申告要件となっています。
こちらは輸入者(または代理店)が、定められた期限内に必要な情報をアメリカ税関(CBP)に提出することが義務付けられています。
提出が求められる情報
米国向けISFファイリングで必要な情報は以下の10項目です。
- 貨物の売主(Seller)
- 貨物の買主(Buyer)
- 輸入者番号(Importer of Record Number)
- 受取人番号(Consignee Number)
- 製造者(Manufacturer)
- 最終的な配送先(Ship to Party)
- コンテナ詰め込み場所(Container Stuffing Location)
- 詰め込みを担当した業者(Consolidator)
- 積み込み港(Port of Loading)
- アメリカの入港地(Port of Entry)
米国港経由にてメキシコやカナダに輸入される貨物は、以下の5項目が必要です。
- 船腹予約者の名前と住所
- 配送先の名前と住所
- 商品のHTSUS番号(6桁)
- 荷卸される外国港
- 納入場所
請負船会社がCBPに提出を義務付けられているのは、以下の2項目です。
- コンテナの本船上積み付け(Vessel Stow Plan)
- コンテナの輸送状況(Container Status Message)
ISFファイリングの期限と注意点
アメリカ向け本船が出発する24時間前までに申請する必要があります。 第三国でトランシップがある場合、そのトランシップ地からアメリカ向けの本船が出発する24時間前が期限となります。 もしISFが適切に提出されなかったり、申告内容に誤りがあった場合、通関が進まず輸送遅延が発生するのみならず、罰金が科されるリスクがあります。
ISFは輸入者様の申請ですが、輸出地から提供される情報も含まれています。 確実に申告が行われるためにも、米国輸入者様と予め内容のご確認をいただく必要があります。
【まとめ】ファイリングはなぜ必要? 概要と手続きについて
AMS/ISFの内容をまとめた一覧は以下の通りです。
|
AMS (Automated Manifest Systems) |
ISF (Import Security Filing) |
内容 |
船積情報(マニフェスト情報)申告 |
輸入者セキュリティファイリング |
提出内容 |
船荷証券の詳細情報 |
輸入者関連10項目が中心 (10+2) |
提出期限 |
本船出港24時間前までに確認 |
本船出港24時間前までに確認 |
申告義務者 |
運送人が申告する |
輸入者または代理人が申告する |
導入年 |
テロ対策として2003年施行 |
2009年導入、2010年本格施行 |
ISF、AMS等ファイリングは重要な手続きです。
これらを適切に行うことで、通関がスムーズに進み、輸送の安全性が確保されます。 逆に、ファイリングが正しく行われていない場合、罰金や遅延のリスクが生じることがあります。
当社は、米国向けFCL・LCL出荷の実績が多く、米国向け出荷が初めてのお客様、ご不安なお客様へのアドバイスをさせていただいております。
米国向けの出荷をご検討中のお客様は、ぜひ商船三井ロジスティクスにお気軽にご連絡ください。