2025年1月15日 その他
あけましておめでとうございます。~2024年物流業界での出来事を振り返る~
明けましておめでとうございます。
2024年も商船三井ロジスティクスをご愛顧いただき、ありがとうございました。
2025年も変わらぬご支援をよろしくお願い申し上げます。
2024年は物流業界にとって、様々な課題と向き合った1年でした。今回の記事では、この1年で起きた重要な出来事を振り返りたいと思います。
<2024年問題への対応>
2024年4月から始まったトラックドライバーの時間外労働規制。予想通り、物流業界に大きな影響がありました。各社が配送計画の見直しや運行の効率化に取り組む中、モーダルシフトへの関心も高まっています。
2024年問題対策の1つとして、成田国際空港(NAA)では、2024年11月より、トラックマネジメントシステムを導入しました。このシステムでは、輸入貨物の積み込みを上屋側のフォークリフトが行い、構内での2次仕分けなどは禁止されることになりました。
導入当初の混乱は徐々に解消され、本格的な運用で、荷待ち時間の削減や車両の滞留緩和など、今後、実質的な効果に繋がっていくと期待されます。
また、関西国際空港でも同様の取り組みが始まりました。11月から本格稼働した「KIX Cargo Cloud」の一環として、輸入貨物引き取りトラックマネジメントシステムを導入しました。このシステムにより、一部必要書類がペーパーレス化され、作業の省力化が進んでいます。
しかし、新システムならではの課題も発生しており、関西エアポートでは、システムの改善やペナルティ措置の検討など、より効率的な運用に向けた取り組みを進めています。今後課題を解決し、物流の効率化を実現していくことが期待されています。
<環境問題への取り組み>
環境問題への対応も、2024年の大きなテーマでした。航空業界では、SAF(Sustainable Aviation Fuel)の導入が本格化しています。主要航空会社が使用率を徐々に引き上げる中、当社もJALのSAFプログラムに参画しました。地球にやさしいグリーンロジスティクスを推進すべく取り組んでいます。
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また商船三井では、風力補助推進システム「ウインドチャレンジャー」の性能検証も行いました。
「ウインドチャレンジャー(WIND CHALLENGER)」は、商船三井が開発した硬翼帆式の風力補助推進システムです。帆を利用して再生可能エネルギーである風力を船の推進力に活用します。現在の大型貨物船は化石燃料に大きく依存していますが、この帆を設置することで、スピードを落とすことなく燃料使用量を抑制できます。
化石燃料に頼らない、クリーンエネルギーを活用した新しい海運の形として、業界内外から注目が集まっています。
風力補助推進システム「ウインドチャレンジャー」の詳細はこちら
さらに商船三井では、2024年2月には画期的な取り組みとして、オランダのスタートアップ企業123Carbon B.V.と協働し、低炭素輸送サービスの環境価値をデジタル証書として取引できるプラットフォームを構築しました。これは、アジアの船会社として初の試みです。お客様の事業活動におけるScope3(サプライチェーンでの温室効果ガス排出)の削減に貢献するため、代替燃料を使用した海上輸送サービスの環境属性を、デジタル証書として提供できるようになりました。
当社もこの取り組みに参画し、お客様の環境負荷低減の取り組みを積極的にお手伝いしていきたいと考えています。
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<紅海における海運危機>
2024年の海運業界に大きな影響を与えたのが、紅海での商船への攻撃でした。イエメンの武装組織フーシ派による攻撃が続き、多くの海運会社が安全確保のため、スエズ運河を避けてアフリカ南端の喜望峰回りのルートを選ばざるを得なくなりました。
この迂回により航海日数が大幅に増え、海上運賃の上昇やリードタイムの延長など、世界の物流市場に大きな影響が出ています。
<パナマ運河の水不足による規制>
パナマ運河では、エルニーニョ現象の影響で深刻な渇水が発生しました。通常1日36隻だった通航枠が、一時は22隻程度まで減少しました。これにより、アジアと米東岸を結ぶ重要な航路に大きな混乱が生じました。
多くの船会社は別のルートを探さざるを得ず、輸送コストの上昇は、世界中のサプライチェーンに影響を与えました。
なお、現在は通航制限が解除され、正常化しています。
パナマ運河水不足に関する当時の記事はこちら
<アジアにおける自然災害と政治情勢>
2024年9月、ベトナムを襲った大型台風は甚大な被害をもたらしました。洪水や土砂災害により、多くの犠牲者が出たほか、インフラや港湾施設の損傷、道路網の寸断により、製造業のサプライチェーンが混乱し、現地の人々の生活にも大きな影響が出ました。
また、バングラデシュでは政変により情勢が目まぐるしく変化した年でした。
6月から始まった学生による抗議デモの影響で、8月にはチッタゴン港での輸出入作業・税関手続きが一時停止するなど、物流面でも大きな影響がありました。
<2025年に向けて>
2024年を振り返ると、地政学的リスクや自然災害など、様々な課題に直面した年でした。
昨年に引き続き、2025年も環境への配慮と効率化、そして持続可能なサプライチェーンの構築は、業界全体の重要なテーマとなります。加えて、今年は米国の大統領交代による貿易や国際物流への影響が懸念されており、引き続き動向を注視する必要があります。
私たちは2025年も世界各国の最新情報に目を配り、お客様にとって価値のある物流情報を継続的に発信していきたいと考えています。
2025年も、お客様に寄り添った最適な提案を行い、信頼いただけるパートナーであり続けることを目指します。
今年が物流業界全体にとってさらなる発展の年となることを願うとともに、当社商船三井ロジスティクスもその一翼を担えるよう尽力してまいります。