足ついてますか? 足たりてますか? ~安全な輸送のための第一歩~
「貨物に足がありません。」
それは確か、世の中がコロナで大騒ぎとなる前、最後のGW明けの金曜日の昼下がり、五月病と全力で戦っている最中(睡魔ではありません)に突然倉庫から1本のSOS(内線)が入りました。
貨物に足がないとはいかなることか・・・と、一気に目覚めた後に事情を聞いてみたところ、搬入された木箱には通常ついているはずのゲタと呼ばれる部分がついていないことが判明しました。
足がついていない貨物
<荷姿を大きく分けるもの>
航空輸送、海上輸送する貨物の荷姿は、カートン、木箱、木枠、ドラム缶、パレット、巻き段ボール、紙袋、フレキシブルコンテナ、その他諸々、様々です。
これらの荷姿を大きく二つに分けることが出来るのですが、何だと思われますか?
答えは、人間が手で持ち上げることが出来るか、あるいは出来ないかです。
「そんなことか」と多くの方が思ったことでしょう。
あえて聞くまでもない質問に思えるかもしれませんが、航空輸送、海上輸送、もちろん国内輸送も含めて、実は重要な事でもあるのです。
まず人間が持ち上げることが出来る貨物ですが、カートン、紙袋、巻き段ボール等、重量でいえば20㎏~30㎏程度であれば人力で運ぶことは可能となります。 もちろん、重量が20㎏程度であっても、例えばベッドのマットレスのような大きさでたわみやすい貨物の場合は、しっかりと抱えることが難しくなる為、話は別となることもあります。
また、40㎏近い重量でも形状によっては人力での移動は可能です。
とは言え、いくら可能と言っても人が作業するわけですから安定して安全に確実に作業が行えるとは、残念ながら言い切れません。 一旦持ち上げた貨物を何かしらの原因で落下させてしまうことも実際起こっています。特に重量が重くなるほどアクシデントに繋がるリスクが高くなります。そのために少々の衝撃でも耐えうる強固な梱包が求められる事となります。
うすうすお気づきのこととは思いますが、当然機械に頼るしかありません。
よく知られているものではフォークリフトがあります。これを使用すれば貨物の上げ下げ移動が安定して確実に行うことが出来ます。
但し、フォークリフトで移動させる為に必要な貨物の構造があります。
それがゲタという部分であり、 「フォークリフトの爪が貨物手前から向こう側へ底面を通せるように貨物と地面に空間をつくる」 為のパーツとなります。
<貨物の足事件再び>
時は流れコロナ禍で世の中が大騒ぎとなり、足なし事件(?)の記憶も薄れかけていた春の訪れとアフターコロナが待ち遠しい3月初旬のある昼下がり、倉庫から再びSOSが入りました。
「足が足りません。」
前回事件の記憶が瞬時に蘇り、但し今回は足が足らないとはいかなることかと詳しく聞いてみると、7m近くある細長い木箱が搬入され、ゲタが中央付近2か所と片方の端付近1か所についてはいるが、もう片方の端付近には無く、この上に重い貨物が載せられた場合、大きさに対して軽い貨物であったこともあり反対側が浮き上がる恐れがあるというものでした。 (しかも2ケースも・・・)
航空会社へ念の為確認をしたところ、荷崩れが起こる恐れが考えられる為、このままでは受託が難しいとの見解を示されたことから、荷主様へ事情を説明した上で足りないゲタの追加補強を提案させて頂き、了承を得て補強手配をし無事出荷に至りました。
足がたりていない貨物
<安全に貨物を輸送するために>
航空輸送、海上輸送とは、航空機搭載、コンテナバンニングに至るまですでに輸送が始まっています。 確実に安全に安心して移動させる為の貨物の強度はもちろんのこと、構造も含めバランスの取れた状態であることが大変重要となります。
もちろん航空機、貨物船から降ろされた貨物はお客様へお届けするまで、輸送は続きます。
では、冒頭で足の無かった貨物は一体どうなったのか・・・
貨物は2m程の長さがありましたが、幅及び高さが40cm程度、貨物総重量が40kgということもあり航空会社へ確認を取ったところ、今回は人力での移動も(ギリギリ)可能という見解となったことから、そのままでなんとか出荷に至りました。
(もちろん、無事に海外のお客様までお届け完了となったことは確認済です)
私ども商船三井ロジスティクスは、どのような事態においてもお客様の貨物を安全にお届けすることをモットーに、日々物流手配を行うことを心がけております。
輸送案件に関するお困り事がございましたら、ぜひとも一度お問い合わせください。